パスタの聖書

パスタのレシピ、文化を公開。家庭料理で唯一プロの味を超えられるのがパスタ。

2023-01-01から1年間の記事一覧

マリナーラ〜船乗りの芳香パスタ

マーティン・スコセッシの映画『グッドフェローズ』でマフィアのヘンリーが「マリナーラのソースがケチャップになってしまった」と言う。かつての隆盛と落ちぶれた現在を対比させた秀逸なセリフだ。グッドフェローズは「信頼できる仲間たち」という意味だが…

牡蠣ロンチーノ〜オストリケ(牡蠣)のペペロンチーノ

ペペロンチーノは元々ボンゴレビアンコからアサリを抜いた貧乏パスタ。贅沢を言わない殊勝な心がけのスパゲッティ。どんな変化球にも対応できる万能マン。たまには高い食材を使ってもバチが当たらない。今回は牡蠣を使ったペペロンチーノ、通称「牡蠣ロンチ…

キムロンチーノ〜キムチとペペロンチーノのブラザーフッド

韓国風パスタは名作が多いが、その頂点に立つのがペペロンチーノとのフュージョン、その名も「キムロンチーノ」。これほどド直球に韓流の文化と食材を冬のソナタしたパスタは他にない。パッチギの衝撃と、息もできない美味しさが待っている。 魔法の調味料キ…

豚の生姜焼きパスタ〜究極の和風スパゲティ

究極の和風パスタが完成してしまった。100人中120人が好きな豚の生姜焼き。パスタに合わせても美味しいだろうとチャラい気持ちで作ったら満塁ホームラン。パスタにジンジャーな旨味のエールが加わることで至高の和風パスタが降臨。美味すぎてショウガないの…

靴職人風のパスタ〜スカルパリエッロに捧ぐ

パスタの楽しさのひとつが「〇〇風」という名前。カルボナーラは「炭焼き職人風」。プッタネスカは「娼婦風」。「〇〇風」の数は藤井風も真っ青なくらい多い。その中でもユニークな名前が「靴職人のパスタ」。現地では「スカルパリエッロ」という。作ってみ…

パスタ道具(調理器具)〜プロおすすめの神器たち

パスタは道具(調理器具)にこだわるほど美味しくなる、楽しくなる、愛おしくなる。道具も調味料もこだわってほしい。必ずあなたのパスタは変身する。素人に良い道具は必要ないと思っている方がいたら人生を損している。むしろプロより技術が劣る素人こそ道…

カラブリア唐辛子は燃えているか?萌え萌えパスタの必需品

美味しんぼ10巻『キムチの精神(こころ)』で栗田ゆう子が「ヒリヒリイライラするような辛味じゃないのね、丸みのある辛さなのよ」と本物のキムチについて語る場面がある。山岡士郎は「この店のキムチに使っているのは韓国産の唐辛子、持ってきたキムチに使…

なめ茸パスタ〜最強の脇役伝説

なめ茸を家に常備されているだろうか?人生を損している人が多いが、なめ茸はカレーと合う。スパイシーさを殺さず、マイルドな味付けに変える。パスタに使って余ってもカレーに活用できるので、ぜひ常備してほしい。なめ茸はご飯はもちろん、パスタにも合う…

バニラとナツメグとレモンのペペロンチーノ〜記念日やご褒美のパスタ

少し贅沢な食材を使って、いつものペペロンチーノをゴージャスに。記念日やご褒美の非日常を彩る絶品のペペロンチーノを紹介。Lemonがめちゃくちゃいい仕事をする米津玄師にも食べて欲しいパスタ。 バニラとナツメグの魅惑 バニラとナツメグとレモンのペペロ…

グアンチャーレの魔力〜パンチェッタ、ベーコンとの違い、パスタとの甘い関係

誰もが食べたことのある「カルボナーラ」や「アマトリチャーナ(トマトパスタ)」。しかし、本当のカルボナーラやトマトパスタを食べたことのある日本人は少ない。なぜなら「グアンチャーレ」が入ったパスタは日本で希少だから。このグアンチャーレこそ、カ…

背徳の焦がしバターパスタ〜カロリー爆弾バンザイ

生まれ変わったらバターになりたい。食パンはパンが目当てじゃない、バターを食べてるんだ!そんなバター好きに捧げるパスタを紹介したい。ギニュー特戦隊のバータにも食べてもらいたい。満足できなかったらチョコレートパフェを奢ろう。 バターパスタは「ア…

パスタはチーズの夢を見る〜12種類のダイヤモンド

左からグラナ・パダーノ、パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノ チーズは世界中で1,000種類を超え、各国でプライドをかけたチーズ戦争が繰り広げられる。我こそは最高のチーズと自負する国も多く、その中から勝手にチーズの王様を選ぼうもの…

キノコのペペロンチーノ〜バイキンマンに捧げるパスタ

『マリオブラザーズ』でマリオやルイージが食べて元気になるものは何か?『マリカー』で超速ダッシュができるものは何か?そう、キノコである。キノコがあればなんでもできる。キノコを制する者は元気を制する。 キノコの元気の秘密 キノコのペペロンチーノ…

アマトリチャーナ〜トマトソースの原点〜

パスタを家で作ってほしい大きな理由がアマトリチャーナにある。飲食店であまり見かけない。提供してくれてもブカティーニではなく普通のロングパスタが多い。しかし、アマトリチャーナほどパスタ文化と歴史を語れるものは少ないので、ぜひ家庭で再現してル…

カルボナーラ〜炭火職人のスパゲティ

">カルボナーラはパスタ界のアイドルにして、最も作り方の論争を呼ぶ風雲児。漫画『美味しんぼ』第25巻の「対決!!スパゲッティ」では海原雄山と山岡士郎が全卵を使ったカルボナーラを全否定し「食べるまでもない」と斬り捨てた。果たしてカルボナーラはそん…

グリーチャ:羊飼いのパスタに歴史あり

パスタ文化の素晴らしさを理解するのに、グリーチャ以上のものは存在しない。他のパスタは食材を自分流にアレンジすることはあるが、グリーチャだけは、できる限りペコリーノ・ロマーノとグアンチャーレを使ってほしい。 グリーチャとは グリーチャの由来 グ…

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ〜すべてのパスタは乳化に通ず

">すべてのパスタはアーリオ・オーリオに通ず。アーリオはニンニク、オーリオが油、ペペロンチーノが唐辛子。元々はボンゴレビアンコからアサリを抜いた貧乏パスタ。それが今やパスタの代名詞になったのだから歴史は小説よりも奇なり。正式名称は「アーリオ…

トマトと大葉の和風 冷製パスタ

残暑お見舞い申し上げます。夏が終わらないので、冷製パスタが美味しい。今回は白だしや大葉を使った和風の冷製トマトパスタ。リコピン大魔王の本領発揮。 トマトと大葉の和風 冷製パスタの材料 カペッリーニ:100g トマト:1個 大葉:10枚 ニンニク:1片 生…

酔っ払いのパスタ〜お酒のスパゲティ

ワンパンで作れる簡単スパゲティ。鶏肉の旨味を活かした簡単パスタ。 酔っ払いのパスタの材料 バリラ1.4mm:100g 鶏もも肉:150g 料理酒:大さじ3(日本酒でも可) ニンニク:2片 カラブリア産の唐辛子:1本 水:300cc 本来のリュウジさんのレシピは料理酒で…

イワシ缶詰のパスタ〜シチリアより愛を込めて

家庭に冷蔵庫がなく、食べ物の保存が効かなかった時代。頭を抱えたのは魚だった。特にシチリアではイワシを好んで食べるが、他の魚に比べて足が早い(腐りやすい)。そこで日持ちさせるために考えたのが火を入れること。今回は、余ったイワシを美味しく食べ…

ズッキーニのパスタ

一番好きな野菜はズッキーニ。ズッキーニがあればなんでもできる。ズッキーニがあれば美味しいパスタが作れる。1,2,3,ズッキーニ。萌える闘魂ズッキーニ。原産はのアメリカのテキサス州、もしくはメキシコ。見た目はキュウリだがカボチャの仲間。だからどう…

大葉(青しそ)の和風パスタ〜ホームランが聞こえた夏

夏を彩る和風パスタといえば「大葉」である。別名・青紫蘇。中国原産の植物は和風パスタに欠かせない代名詞となった。この奇跡の葉っぱはバジルにもなる。千の顔を持つ男ミル・マスカラスも顔負けの大変身。ぜひ、こちらも食べて欲しい。 今回は変化球ではな…

ペスカトーレ〜海の王者のパスタ

魚介系パスタの頂点に君臨するのがペスカトーレ。「海賊王に!!!おれはなるっ!!!」と言ったのはルフィだが、ペスカトーレはパスタの海賊王。超絶簡単で材料も手軽で、誰でも海賊王になれる。ONE PIECEが手に入る。サンジも驚愕するパスタ。 ペスカトーレの意…

オクラとイカとトマトのペペロンチーノ

夏を彩る美味しいペペロンチーノ。オクラとミニトマト、ヤリイカの三重奏。モーツァルトやシューベルトのような夏パスタ。 パスタは具材が多いほうが難しい? 材料や作り方を紹介する前に、よく聞かれるパスタの疑問から。具材を使わないシンプルなアーリオ…

ジェノベーゼ〜冷製と情熱の間のパスタ

晩春になり気候が暖かくなると冷製パスタが恋しくなる。冷やしそうめん、冷やし中華と並んでで三大冷麺のひとつである。韓国冷麺を加えれば四天王。冷やしパスタには冷製トマトソース、冷製カルボナーラなどあるが、冷製ジェノベーゼの足元にも及ばない。究…

べーたま〜パスタは具沢山で行こう

具沢山のパスタが好きだ。麺とソースだけの洗練されたパスタも、ワンポイントの彩りで具を置いたオシャレなパスタもいいが、たまには食材が山盛りになったパスタを食べたい。グルメでも美食家でもなく、いつまでも「食いしん坊」でいたい。そんな想いに応え…

イカ墨パスタ〜ダークナイトのスパゲッティ

パスタのレパートリーでスペシャリテ(自慢の得意料理)を聞かれたら「イカ墨のパスタ」と答える。これほど練習したパスタは他にない。何度も何度も来る日も来る日も作り続けた。困ったのは麺。1.7mmからスタートし、フェットチーネやリングイネ、キタッラな…

カッチャトーラ〜猟師風パスタのファイナルファンタジー

「狩人」という言葉を初めて知ったのはスーパーファミコンの『ファイナルファンタジーⅤ』だった。30代、40代、50代の人は夢中になったはず。 「かりうど」という勇ましい響きがカッコよく「吟遊詩人」と並んで憧れのジョブ。ファイファン(関西では「エフエ…

アラビアータ:怒りん坊のパスタ

子どもの頃に食べらなかったパスタが美味しいと思えるようになる。その代表格がアラビアータではないだろうか。成長を感じるパスタ。人生のようなパスタ。それがアラビアータ。唐辛子の辛味にトマトソースの酸味。そのふたつが何とも言えない滋味になる。喜…

鯖缶のトマトパスタ〜サバ読みなしの美味しさ

表参道のIT企業で働いていたとき、オフィスの目の前がAVEXの本社だった。昼になるとベンダー(屋台)が立ち並び、色んなお弁当屋さんが出店する。一番好きだったのが鯖の塩焼き弁当、800円。栄養が偏る一人暮らしの男にとってありがたい。しかも骨がなく食べ…